
遅くなりましたが、6月末に竣工したPuu-Houseの画像をアップします。
この建物は、建て主様ご夫妻とお子様お一人、ご主人のご両親、奥様のご両親とご祖父母、総勢9人の4世帯が住む為の住宅です。このような形態の住宅は、もちろん私も初めての経験でしたが、少子高齢化が進む現代社会において、このような居住形態の可能性というのを考えさせられた体験でした。
この計画の中で、最も気を使ったのは、それぞれの世帯の生活におけるプライバシーとパブリックのバランスでした。プライバシーばかりに気を取られると、まるでアパートの様になってしまいますし、その逆では、それぞれの世帯間のプライバシーが希薄になり、気ばかり使って落ち着けない家になってしまいます。入口の取り方、壁の配置、開口部の取り方、部屋の向きと繋がり、それらを総合的に設計に反映し、物理的な距離と心理的な距離のバランスによって、それぞれの世帯間の絶妙な距離感を実現しました。それぞれの生活の中で、最低限のプライバシーは確保しながら、みんなで住むことを積極的に楽しめるように考えました。

南面には大きなウッドデッキが設置されています。このウッドデッキを通して、世帯間の行き来もできる様になっています。


建て主様世帯のリビングダイニングです。階段を鉄骨のササラ桁と集成材の段板だけにすることで、空間に広がりを持たせています。また、階段下を掘り下げて、書斎のスペースを確保しています。ただ、当分はお子様の遊び場になる予定です。大きな窓からは、奥様の親世帯のリビングが、地窓を通して垣間見ることができます。

階段ホールの南面には、大きなはめ殺しの窓があり、周囲の自然を望むことができます。とても開放的です。

2階に上がったところの階段ホールの手洗いカウンターは、シンプルに集成材のカウンターと洗面器の組み合わせで、空間に馴染んでいます。

2階の子供部屋です。コーナー窓にすることで、とても開放的に感じられます。

ご主人の親世帯のリビングダイニングです。高さが700mmの造り付けの集成材のカウンターが設けられています。キッチンの背面には、シナ合板の扉が付く天井までの高さの収納が設けられています。

ご主人の親世帯の寝室です。壁面の造り付け収納の上部はあえて空けてあります。そうすることで、やはり空間に広がりを感じます。

奥様の親世帯のリビングダイニングです。東側の壁面には造り付けの棚が設けられています。敢えてシンメトリーとはせずに、正方形をモチーフとしたデザインとなっています。その下には、地窓が有り、玄関前のウッドデッキスペースを通して、建て主様世帯の様子が垣間見えます。

奥様の親世帯のトイレです。造り付けの集成材のカウンターとシンプルな手洗いが設けられています。

廊下は間接照明になっています。天井と片側の壁が、ブラックに塗られた合板、反対側の壁が白い珪藻土の壁になっていて、とてもコントラストが美しくい空間となっています。


この2枚の夜景の写真は、建て主様から頂きました。南側の外観とデッキ照明に照らし出された玄関前ポーチの木製の縦格子です。左が建て主様とご主人のご両親の2世帯住宅の玄関、右が奥様のご両親とご祖父母の2世帯住宅の玄関となっています。
posted by 雨川 充宏 at 19:53|
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Puu-House